FXの基本 外貨預金との違い
【FXとは】
FX、名前くらいは聞いたことがあるし、為替の上げ下げを利用して利益を得る方法だということはなんとなく知っている人も多いかもしれません。
それが全てというわけではありませんが、認識自体は全く間違いありません。
FXとは外国為替証拠金取引(margin Foreign eXchange trading)の略称で、各国の通貨を売買することによって、その差分で儲かったり、損をしたりするわけです。
わかりやすく日本円とアメリカドルの売買で損益を見てみましょう。
- 1ドル=105円の時に1万ドルを円で買う。
- その後、為替が動き1ドル=108円になったところで1万ドルを売る。
この場合、1ドル当たり、3円のプラスとなるので、3円×1万=3万円分の利益となります。105万円で買った1万ドルという商品を、108万円で売るとイメージするとわかりやすいかと思います。
しかし、運悪く為替が逆に動くと損失が発生します。
- 1ドル=105円の時に1万ドルを円で買う。
- その後、為替が動き1ドル=103円になったところで1万ドルを売る。
この場合は1ドル当たり、2円のマイナスとなるので、2円×1万=2万円分の損失となります。105万円で買った1万ドルという商品を、103万円で売るとイメージして下さい。
ただ、この二つの例だけだと外貨預金との違いがあまりわからないかと思います。
FXには外貨預金とは異なる側面がいくつもあり、それが魅力となっています。
FXと外貨預金の大きな違いは以下の3つです。
- レバレッジをかけられる
- 売りから取引ができる
- 手数料が安い
他にも取引通貨ペアや金利なども違いがありますが、まずはこの3つを見て行きましょう。
【レバレッジとは】
上の例にもあるように、1ドル=105円の時、1万ドルを買うためには105万円が必要になります。しかしFXではレバレッジをかけることによって、105万円以下の資金でも1万ドルを買うことができるようになります。
日本国内のFX会社では最大レバレッジが25倍までかけられます。レバレッジとは何か、言葉で説明するよりも例を出したほうが理解が早いと思います。
要するに5倍のレバレッジなら証拠金の5倍の金額分の外貨を取引することができるということです。これが25倍までかけられるので、100万円の証拠金がある場合は2,500万円分の外貨を取引できるわけです。
これがFXの魅力でもあり、怖いところでもあります。FXはなんとなく大金を失ってしまうリスクがあると考えて、手を出さない人が多いと思います。
実際にネット上ではFXで大切な預金をほとんど失くしてしまった方の体験談がゴロゴロ転がっていますもんね。
そういった方々のほとんどは高いレバレッジで取引をしているのです。
- 1ドル=100円の時、100万円の証拠金で25万ドルを買う(←レバレッジ25倍)
- 1ドル=96円に下落
- 証拠金が0円になる
さて、レバレッジをかけると頭が混乱する方もいるのではないでしょうか?たった4円下がっただけで、なんで100万円が0円になっちゃうの、と。
そのような場合はレバレッジをかけている分はお金を借りて、25万ドルという商品を購入していると考えてみましょう。
- 1ドル=100円の時、100万円の証拠金で25万ドルという商品を買う⇒手持ち資金は0になり、2,400万円の借金をして、25万ドルを手に入れる!
- 1ドル=96円に下落⇒持っている25万ドルの価値が2,400万円に下がるのでこの時点で売って、2,400万円を入手し、借金を全額返済する!
- 証拠金が0円になる
このように考えれば証拠金の100万円が0円になった流れがわかりやすいのではないでしょうか。
ただ、実際に取引を始めると、「25万ドル保有しているから、1円の動きで25万円の損益が発生するな、じゃあ4円マイナスになったら0だな」とすぐにわかるようになると思います。
さて、レバレッジをかけると大きな損失を出すリスクがあることはわかって頂けたかと思います。逆に言うとこれは大きな利益を出す可能性もあるということです。
先ほどの例の逆で考えてみましょう。
- 1ドル=100円の時、100万円の証拠金で25万ドルを買う(←レバレッジ25倍)
- 1ドル=104円に上昇したところで売る
- 証拠金は200万円となるので、100万円の利益となる
このように高いレバレッジをかけるほど、FX投資はハイリスクハイリターンになります。自身の証拠金の額と、購入数量を良く吟味し、自分のスタイルに合ったレバレッジで運用することが重要です。
【売りから取引ができる】
今までの例では全て日本円で米ドルを購入し、為替が動いた後に売る、という取引を行っておりました。しかし、このような取引の場合は、日本円の価値がドルに対して安くなる場合しか、利益を出すことができません。1ドル100円だったのが105円になったりする場合などですね。
円安、円高という言葉は勘違いしやすいのですが、1ドル100円だったのが105円になることは円安が進んでいることになります。
円の価値が下がってドルの価値が上がっているので、円安・ドル高ですね。
さて、このように円安・ドル高の場合は、買って売れば利益が発生しますが、円高・ドル安の局面では逆に損失が出てしまいます。
では円高方向に進むと予想している場合は、流れが変わるまで待つしかないかというとそうではありません。
FXは売りから始めることができるからです。
- 1ドル=105円の時に1万ドルを売る。
- その後、為替が動き、1ドル=100円になったところで1万ドルを買う。
- 5万円の利益となる。
買いから始まる場合の逆になるだけなのでわかりやすいかと思いますが、「何で1万ドルなんて持ってないのに売れるんだ」と考える真面目な方もいると思います。
そのような方は1万ドルという商品を借りていると考えてみましょう。
- 1ドル=105円の時に1万ドルという商品を借りて売る。⇒105万円が自分のものとなるかわりにいつか1万ドルを返さないといけない。
- その後、為替が動き、1ドル=100円になったところで1万ドルという商品を買う。⇒100万円で1万ドルを買い戻し、それは借りていたものなので返却することになる。
- 5万円の利益となる。
と考えると真面目な方にも納得して頂けるかと思います。このように売りからも始められることによって、FXでは上昇相場でも下降相場でも利益を出すチャンスがあります。
FXでは最初に買った状態、または売った状態で決済をせずに維持している注文をポジションといいます。買いから始めてポジションを持つことをロング(または略してL)、売りから始めてポジションを持つことをショート(または略してS)と言います。
投資家によってはロングが得意な人、ショートが得意な人など別れたりもしていて、中には自分の得意な方の一辺倒で取引をする方もいます。
【手数料が安い】
外貨預金と比較すると圧倒的に手数料が安いのがFXのメリットです。外貨預金の場合、比較的安いネットバンクでもアメリカドルの為替手数料は片道で1ドルにつき、9銭程度します。これが安いFX会社だとアメリカドルの為替手数料は片道で1ドルにつき、0.3銭程度に抑えられます。
あまりピンとこないかと思いますので、例を出して比較してみます。
①1ドル=100円の時に、100万円分(1万ドル)を外貨預金し、すぐに引き出した場合
1万×0.09×2=1,800円
※9銭=0.09円、2は往復分
②1ドル=100円の時に、FX会社で100万円分(1万ドル)を取引、すぐに決済をした場合
1万×0.003×2=60円
※0.3銭=0.003円、2は往復分
同じ条件で、支払う手数料として、外貨預金では1,800円、FXでは60円となり、大きなあ差があることがわかります。なお、この例ではどちらも為替の変動、金利の付与はなかったものとしています。
ちなみに外貨預金をネットバンクではなく普通の大手都市銀行で行った場合は、ネットバンクの10倍程度の手数料がかかってしまいます。
このようにFXは外貨預金に比べて、お得に取引をすることが可能です。
いつでも取引できる点や、金利面を比較しても基本的にFXの方が外貨預金よりも優れていると言えます。